久しぶりに当ブログに書きたいことがあって戻ってきた。
現在の日本政府の実態についての備忘録である。
新型コロナウイルスが今年初めに日本に入ってきて以来、日本政府は有効な感染防止政策を行ってこなかった。
…ウイルスは人間ではないから人間の恣意的な意思によるコントロールは不可能である。ウイルス感染を拡大させないためにできることは、感染者を徹底的に洗い出し、隔離すること、それによって新規感染者を増やさないことである。
その間、今年4月~5月のような、緊急事態宣言、すなわち人の活動を徹底的に抑えるような方法をとることも必要になってくるだろう。
しかしそのような方法をとれば、経済が回らなくなり、企業の売り上げは減少、それに伴う労働者の賃金も下がるか失われるのは不可避である。そうならないために、政府は企業の損失を補填し、また、労働者がクビを切られることのないように、企業に労働者に支払うための休業手当を支給するといった、大幅な財政支出を行わなければならないのである。
ただ、この緊急事態宣言という方法は、国内感染者が急激に増加してこれ以上他にどんな手段を講じても感染拡大を防止できないような状況のときに取るべきやむを得ない方法であり、他に感染拡大を抑制する手段が存在するのなら、そちらを優先して取るべきであろう。
現在の日本はどうであろうか。日本政府は7月から「Go To キャンペーン」の一環である、Go to travelとGo to eat(10月から)という観光業・飲食業の需要を喚起させる政策を始めた。これは政府が助成金を出すから国民はお得に旅・食事ができますと謳って、国民に活発に消費活動をするよう促すものである。
7月にトラベル事業が開始されたが、そのとき東京の新型コロナウイルス新規感染者数は、7月下旬~8月にかけていわゆる「第2波」と言われるピークに差し掛かっていた。政府はその状況を鑑みて、東京を除外したのだが、10月から東京も入れることにした。緊急事態宣言後6月の東京の新規感染者数は一番多い日でも100人ないし50人を下回っていたが、9月・10月は100人を上回るだけでなく、200人に至っていた週もある。…はて、どうしたものか。
そもそも政府は今回のGo to事業を全国の感染者数が収束した以降一定期間行うと言っていたのに(公文書にも記載あり)、東京が収束していない状況で開始したうえ、増大傾向にある時期に東京も組み入れたのであるから、誠に政府の失策であると言わざるを得ない。
11月に全国の新規感染者数・重症者数が急激に増加し、北海道や大阪の重症者受け入れ施設の医療体制が逼迫しつつあるとの情報が全国紙・テレビを駆け巡ったときも、政府はGo to事業と新規感染者数増加との間の因果関係を科学的に証明するデータは存在しないとして、一貫して事業を推進した。しかし感染者数・重症者数ともに上昇し、メディアが連日その状況を報道し続け、国民のなかにも不安を覚えて自粛する人が増えるようになると、政府は急に主張を変えて、やはりGo toには懸念材料があるとかなんとか言うようになり、ついには「神のみぞ知る」といった、科学的知見を放棄してまともな政策さえ打てないと、まるで今の政府は無能であると示唆するような発言が一大臣から出るようになった。
今なお中央政府はGo to事業を継続しているのだが、東京都や大阪府では、飲食店の時短営業を要請するなど、国民の消費活動を抑制する策を実施している。専門家らは、20代30代は感染しても軽症であるが、感染拡大の因子であるとして移動の制限をするべきであるとの見解を示している一方で、都知事は重症化しやすい高齢者や基礎疾患を持つ方々の移動を自粛させている。コロナ対策の一番の目的が感染拡大防止であるのは、国際的に見ても明確である。それにもかかわらず、専門家と行政の長との間でもちぐはぐな対応がみられ、また、中央政府と各自治体との間の対応も矛盾しているのに、本当に、このような多元化して且つ相矛盾している権力者に左右される民というのは何と無力で哀れであろうか…
今現在全国の重症者受け入れ施設の病床が満床に近づきつつあり、且つ多重労働・精神的負担から医療従事者の離職が相次ぎ、自衛隊の看護師まで要請しなくてはならないという事態に陥っているのにもかかわらず、それでも日本政府はGo toを来年6月まで継続し、来春には海外の観光客も入れ、オリンピックも通常通り行うとの指針を示している。医療従事者は連日労働に駆られる一方でボーナスがカットされて収入が落ちている。また、国民のなかには観光・外食を促す政策があるからそれを積極的に利用する人々がいる一方で、他人に迷惑をかけないように、または自分が感染するのは怖いという理由で自粛する人々がいる。結果として、政府が当初想定したGo toによる経済効果を得られないのがオチであり、経済とコロナの両立を謳っておきながら失敗し、さらなる損失を生み出し、結果として大損失を被るのが必至であろう。
嗚呼、どうしてこのような世の中になってしまったのかな。どこで間違えてしまったのだろうか。無為無策責任放棄の政治家を選んだ国民に全ての責任があるのだろうか。しかし…、日頃ニュースを見て考察し、勉学を欠かさず国益を考えて投票している人々も含めて責任があるというのはあんまりではないか….。全て、そういった知識ある人々がより多くの人に情報共有できなかったという力不足に由来するものなのだろうか、それか第4の権力といわれるマスメディアの怠慢によるものなのだろうか。
無力な民草はそれでも生きていかねばならない。
日本政府の対応について、備忘録
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