梅の花が散り、冬木立から新芽が萌え出づる3月上旬。桜の花開くまで待ち遠しいこの時期に、よく行く公園で楽しきものを発見した。
木と木の間にぽっかりと空いた空間。地面まで陽の光が注ぎ、ぽかぽかと暖かいその空間に、小さな紫色の花をつけた野草が群生しており、さながらお花畑のようだった。

ラッパのような特徴的な形をした花。
綺麗だったので調べてみると、大紫羅欄花(オオアラセイトウ)、別名、紫花菜(ムラサキハナナ)や諸葛菜(ショカツサイ)というそうだ。
英名は「Chinese violet cress」(※ cressはカラシナ類の植物、アブラナ科の植物という意味)。
人知れぬ野花の美しさ、そして小さな楽しみを発見したというときめきを忘れたくなくて、絵に描いてみた。
― 美しい花もいずれは枯れて散る。それが命あるもの全ての宿命だ ―
槙島聖護の台詞。春の花、特に桜を見ているとこのフレーズが頭をよぎる。
しかし、この野花、――紫花菜に対してはそのように思わないのは不思議だ。
力強い野草だからなのか、それとも人間の目に留めてもらえる機会の乏しい、いつ咲くとも、いつ散るともわからない人知れぬ野草だからなのか。
春と紫を詠んだ和歌を一首。
春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ
野をなつかしみ 一夜寝にける ― 山部赤人 ―