皆さんこんにちは!政治のお時間がやってまいりました。…とその前に雑談でもしましょうか。
世間では新型コロナウイルス感染症が流行しているので、学校はお休みで娯楽施設もお休み….ということで、皆さんはどこにも行くところがなくさぞかし退屈な日々を送っていることでしょう😥
一方で政治は今が大忙しの時期です。衆議院での予算審議が終わり、今は参議院で審議している途中だからです。テレビではその様子が放送されませんが、YouTubeでは流してくださっている方がいるので、お暇でしたら是非その目で今の政治家がどんな人たちなのかということを確かめてみるのもよいのではないでしょうか。
それでは話を振り出しに戻しますね。本日は、政治家はいったいどのようなインセンティブ(動機)で行動しているのか、ということについて説明していきます。
政治家のインセンティブ3つ
先に結論を述べますと、政治家は、
①再選(当選)インセンティブ
②昇進インセンティブ
③政策インセンティブ
という3つのインセンティブ(=特定の行動を引き起こす誘因)によって行動しています。番号の順にインセンティブが弱くなります。
まず、政治家になるには当選しなくてはなりませんし、終身雇用ではないので、再選しないかぎり続けることができません。
次に、政治家になったとしてもすぐにやりたい政策を実行できるわけではありません。ある程度経験を積み、昇進した議員でないと、重要な決定の際に発言することができないのです(新人議員はそこまで重要でない委員会へ飛ばされ、また、発言も自由にできないのです。これは、政治家に関わらずどの組織にもみられる現象といえましょう)。経験を積む・昇進には再選することが必要不可欠です。
なので、インセンティブは、③<②<①、という順番になるのです。
→よって、政治家の主な目的は、①再選インセンティブ、ということになります。
政治家って、「国を良くしよう!」「国民のために!」という動機で行動していそうですが、実はそうではないのです(もちろん純粋にそれだけを目的として活動している政治家はゼロではないでしょうが、後で説明するように、政治家は沢山の人々の支援で活動していますから、当然そういう支援者の意向に影響を受けるわけです)。
上述の説明を読むと、一見すると政治家は「当選したい」という、自分のことしか考えていないように思われることでしょう。しかしそれはナンセンスです。選挙制度があるということは、私たちが政治家をコントロールできるということを意味するからです。なので、政治家にとっては、私たちが投票したくなるような政策を掲げる必要があります。
しかしながら、以下の点が問題なのです(問題というよりは、自然と表現するほうが適切でしょう)。
→政治家それ自体は、非常に合理的に行動します。それは、政治家は多くの人に取り囲まれて活動しているからです。
公設秘書や政策担当秘書…(※)、私設秘書、地元で応援してくれる後援会だったり所属している政党支部やその他のスタッフだったり等、政治家一人が活動するのにたくさんの人々の支えが必要となってきます。
したがって、政治家はまず、自分を支えてくれている人々の利益を優先します。
これは、私たちが普段、あかの他人よりも自分の身近な人々(家族・友達・恋人ほか)を優先するのと同じなので仕方の無いことでしょう。
生活に苦しんでいて困っている、公害をどうにかしてほしい…と思って政治家に嘆願しても、状況がなかなか改善されないのはこういった理由があるのです。
♠豆知識♠
大物政治家レベルになると、政治家を支える人々の数は40~50人になるそうです。一方アメリカだと、下院議員でさえ100人を超えるそうな…。ここから分かるのは、政治にどれだけお金が使われているか、ということですね。
以上トリビアでした!
(※)公設秘書
:国会議員が国費で雇える秘書。国会法の規定(第132条)で、公設第一秘書、公設第二秘書、政策担当秘書の3人まで認められている。
私設秘書とは、政治家が自分で設置する秘書のことをいう。
再選するにはどういうポジションをとればいい?
先に述べたように、政治家はとくに、「再選(当選)したい!」と思って活動します。それでは、再選するにはどういうポジションをとればより有権者の票を獲得できるのでしょうか?
まず、ここでいうポジションとは、保守か革新のいずれか、ということです。いわゆる政治的スタンスというものですね。
政党の立ち位置を図示するものとして、右図のように、政党マトリクスというものがあります。
今回は便宜上、保守と革新についてだけ簡単に説明します。
保守:旧来の風習・伝統などを重んじて守っていこうとする立場。
革新:旧来の制度や組織・習慣などを改めて新しくしていこう、現状を改革していこうとする立場。
さて、下図をご覧ください。これは、有権者が保守・革新どちらのイデオロギー(政治・社会思想)を持っているかをグラフで表したものです。
エベレスト級….見事に急こう配な山型になっていますが、つまり、有権者の大多数が「どっちでもない」=中間、ということを示しています。
→このことから、政治家にとっては、中間にポジションをとれば再選しやすくなると言えます。
♣プラスα知識♣
ただしこれは、
・政策争点が1つで、有権者が近接性モデル(投票の際に、自分の価値観と最も近い候補者=政治家を選ぶと仮定したもの)で投票するとき、で且つ、
・中間層の有権者が棄権しないとき、
→各候補者は、有権者の中央値に自分のポジションを合わせると、得票を最大化できる…というものです。
したがって、選挙のときに各政党のマニフェストが似通ってくるという現象が起きるわけなのです。(特に二大政党制の場合、二党は中間にポジションをとれば得票を最大化できることがわかっているので、積極的に中間層にアピールするような政策を掲げることになります→必然的に、両者の政策は似通ってきます)
【図を引用したサイト】
・「政党マトリクス」日本の政治.com
・公益財団法人 明るい選挙推進協会 「第48回衆議院議員総選挙 全国意識調査」(55頁)
次回は、選挙制度について説明していく予定です。
それでは、良い一日を!