カテゴリー: 雑記

BoldVoice Accent Oracleの挙動を考察

(2025年9月中旬にAccent Oracleの仕様が変わり、判定の出やすさが変動しています。詳細は次の記事をご覧ください。)

みなさんこんにちは。今回は数学に関係ない雑記になりますが、最近少し話題になっている(?)BoldVoice Accent Oracleをやってみたので、これについて書きたいと思います。

BoldVoice Accent Oracleは、与えられた英語の文章を読むことで、自分の英語がどこの国の訛りを持っているかを判定してくれるサイトです。無料でできますので、興味がある方は以下のサイトから試してみてください。

BoldVoice Accent Oracle

判定結果では、以下の画像のように確率の高い上位3つの言語と、その確率が表示されます。

多くの日本人の場合、かなり英語が得意な人でもこのようにJapanese 100%という判定になることが多いと思います。なお、ある言語が100%となった場合、残りの候補は0%と表示されますが、実際には

  • Japanese: 99.91%
  • Chinese: 0.06%
  • English: 0.03%

のようなものが四捨五入などされた結果、このような表示になっていると考えられます。なので、同じ「Japanese 100%」でも下に表示されている候補にEnglishが入っている方が、英語に近いということになると思います。

さて、このサイトはおそらく去年の暮くらいからあるのですが、最近、判定結果の右側に表示されている「American Accent Level」なるものが追加されました。これのおかげで、Accent Oracleが何に基づいて判断しているかが明らかになってきたので、それについて書きたいと思います。

まず、この「American Accent Level」というのは、基本的には発音の正確性のようなものを反映していると考えられます。しかし、イギリス英語のように読んでも90%以上の高い値が出たり、丁寧に読んでもゆっくりだと低めの値になったりすることがあるので、実際のところは音素の正確性以外にも、つなぎ方の滑らかさなども見ているようです。

一方、以下のように58%という低いAmerican Accent Levelで、Englishの比率を高めることも可能です。ちなみに、American Accent Levelが84%以下になると「most native speakers—and a few intelligent computers—can tell you’re not a native English speaker」という文言が表示されるようになります。

このことから、Accent DNAの判定は、発音の正確性とはあまり関係なく、抑揚、リズム、間の取り方などから判定されていると考えられます。あと日本人の場合、口の中での声の響き方も影響していると思われます(後述)。

このサイトはBoldVoiceという発音矯正アプリに誘導する設計になっていますが、BoldVoiceは発音の正確性を高めるアプリなため、BoldVoiceを使って発音練習をしても、American Accent Levelは上がるが、Accent DNAのEnglish率は上がらない、ということが起こるような気がしました。Accent DNAのEnglish率を上げるには、ネイティブの英語を沢山聞いて、リズムを習得することが必要になると思います。

ちなみに、私はBoldVoiceを貶める意図はなく、実際に使ってみましたが音の判定はとても精密に行われていると感じました。特に私自身を含め日本人が犯しやすいミスには傾向があると感じましたので、それを修正するにはとても良いアプリです。BoldVoiceのレビューや、よくある発音にミスについては別な記事で書きたいと思います。

ちなみに、以下のようにEnglish判定になるとAmerican Accent Levelが表示されなくなります。

なお、日本人の場合、読み方のリズムに加え、r, t, dなどの音を出す際に、舌を口の中の前方で操作することによって、響きが浅くなり、Japanse判定になってしまっていることも多いのではないかと思います。

実際、私もあまり意識せずにただ読むだけだとJapanese判定になることが多いですが、同じ読み方でも舌を口の中の後方に置ようにすると、ある文章ではEnglish率が80~90%になりました。

さらに、インド英語のように舌先を常に上あごにつけて丸めるようにしてもEnglish率が高くなるので、やはり口の中での音の響き方など音響的な要素も判定に大きく影響するのだと思います。

(追記)
ちなみに、このAccent Oracleは去年12月時点に比べて判定の精度が上がっているようです。実際、去年12月時点で90%近いEnglish判定だった日本人の方2名の音声がネットにあったので、これらを判定させてみたのですが、一人は「Japanese 78%」で、もう一人は「You are special, I need to hear a bit more from you.」となりました。また、数か月前の時点で一発でEnglish判定が出ていた日系アメリカ人の方2名(バイリンガル)の方の音声でも「You are special, I need to hear a bit more from you.」だったので、English判定を出す難易度は以前よりかなり上がっているのではないかと思います。

バイリンガルでないネイティブの方の音声では一発でEnglish 87%が出ましたので、やはり何か違いがあるのだと思います。私も現時点では安定してEnglish判定が出せるわけではないので、研究を続けていきたいと思います。

(追記2)
裏声を使って文章を読み上げるだけでかなり安定してEnglish判定が出せることがわかりました。これにより、ACCENT DNAの判定が口の中の共鳴位置により行われていることが明確になりました。

(追記3) 2025年9月13日
Boldvoice Accent Oracleの仕様が更新された結果、English判定が細分化され、British, Americanなどの判定が出るようになりました(オーストラリアアクセントは真似できないのであるかわかりません)。その結果、ネイティブスピーカー判定(British, Americanなど)の基準が以前よりも明らかに甘くなりました。以前の仕様では、English判定が出る基準がかなり厳しかった(喉の奥や口周りに余計な力が入っているとすぐ見抜かれていました)のですが、今回の仕様変更で容易にネイティブが判定が出るようになってしまいました。以前の仕様では、自分の発音がネイティブと同等の響きになっているかを確認する良いツールになっていたので、個人的には今回の変更は残念です。

(追記4) 2025年9月20日
AccentOracleのパラメータが調整され、現状American EnglishやBritish Englishの判定が非常に出にくくなりました。実際、読み上げソフトで試してもSouth African 90%などの非ネイティブ判定が出ることがあり、American EnglishやBritish EnglishをACCENT DNAに含めることも以前より格段に難しくなりました。もしかしたら現在パラメータ調整中なのかもしれませんし、判定精度が上がったのかもしれません。またいろいろと試して詳細がわかりましたら記事にしようと思います。

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作成者:

数学科出身で、確率論、統計学を研究するポスドクです。

BoldVoice Accent Oracleの挙動を考察” への2件のフィードバック

    1. コメントありがとうございます。承認が遅くなってすみません。
      お風呂でやるとネイティブ確率が上がるということは、やはり共鳴の仕方などに基づいて判断している部分が大いにありそうですね。

      0

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